【レポート】鉄道グループ情報子会社のクラウドへの挑戦~近鉄情報システム(株)はVMware Cloud on AWSを如何に活用しているか #AWSSummit
こちらは2019年06月27日に開催された AWS Summit Osaka 2019 のセッション「鉄道グループ情報子会社のクラウドへの挑戦~近鉄情報システム(株)はVMware Cloud on AWSを如何に活用しているか」をレポートします。
スピーカー
近鉄情報システム株式会社
技術管理部 グループマネージャ
上種 義之
セッション概要
近鉄グループホールディングス(株)配下の情報子会社である近鉄情報システム(株)はAWSを軸にクラウド化を進めており、その中でVMCの導入に取り組んでおります。その検討の経緯や、検討にあたっての課題や対策、また今後のクラウド化のビジョンについて登壇しお話しします。
レポート
アジェンダ
- 会社紹介
- クラウド化への取り組み
- VMware Cloud on AWS 活用のねらいと検証結果
- VDI/DR の活用案
会社紹介
- 近鉄グループホールディングス株式会社
- 近畿一円を走っている鉄道会社
- 近鉄情報システム株式会社
- やっていないこと
- 保安系システム
- 鉄道ダイヤ、運行システムとかはやっていない
- やっていること
- 営業系システム
- 基幹系システム
- ポイント系システム
- やっていないこと
取り組み
- 背景
- DXレポートにある2025年の崖
- レガシーシステムを刷新するとともに、デジタル変革を行う人材の確保が必要
- 同社も同様の認識をもっており、課題と感じていた
- 人材を活かす企業文化と流動化するIT人材の獲得がデジタル変革の成否をわける
- DXレポートにある2025年の崖
- 組織をどう変革していいくか
- ルル3条
- 編集工学研究所の松岡正剛氏が唱えたもの
- ルール
- ロール
- ツール
- まずツールで成果をあげることで、ロール、ルールの変更に働きかける
- そのためのツールとしてのクラウド(組織変革するためのクラウド)
- クラウド利用により組織風土を変えたい
- 挑戦することで組織を活性化
- 最初に目指す方向
- リフト&シフト
- クラウドにシステムをあげる(シフト)ことで、組織を新しいカタチに変革(シフト)する、と解釈した。
- ルーチン中心のインフラ構築運用の労力を軽減
- 若手を将来の糧になる仕事に移行する
- 何度も試す。失敗してもいいじゃないか。
- クラウドにシステムをあげる(シフト)ことで、組織を新しいカタチに変革(シフト)する、と解釈した。
- とはいえ、鉄道会社は自社所有主義
- 施設を自前で構築、運営を行う傾向がある
- 基本的にはオンプレ大好き
- 社内では当然訝しむ声もあったが、官公庁のクラウドサービス利用が追い風になった
- リフト&シフト
- クラウド化の適用方針
- 既存設備の償却時期も考慮して2025年までにクラウド移行を果たす
- ツール(クラウド)導入の取組方針
- 大手SIerに丸投げしない
- クラウドCoEの発足と役割
- ツール利用促進の教育と、環境整備を優先
- 具体的な取り組み
- 社内でAWS基礎教育を定期実施
- Qwiklabs の活用
- 資格奨励
- クラスメメソッドのワークショップ!!(ご紹介ありがとうございます!)
- 共通インフラ
- 運用監視システム
- AWS接続用のネットワーク
- 近鉄敷設のダークファイバーを活用した
- これまでの成果と課題
- 若手の活躍により次を実現
- 各種アプリシステムの基盤をAWS上で自社構築
- VMware Cloud on AWSの検証を自社で実施
- 課題
- オープンでフラットな組織文化作りはまだ途中
- 若手の活躍により次を実現
VMware Cloud on AWS
- AWSのベアメタル上で実行される VMware SDDC
- なぜ注目したか
- リファクタリングすることなくクラウドに移行できることを魅力に感じた
- AWS各種サービス連携が可能
- 早期検証プログラム(EAP)の内容
- プライベートクラウド更新を想定し、必要な運用環境構築できるかを検証
- AWS連携
- ネットワーク
- ストレージ
- 移行ツール
- バックアップ/リカバリ
- 監視運用
- プライベートクラウド更新を想定し、必要な運用環境構築できるかを検証
- 検証環境について
- データセンターとVMC間は IPsec VPN で接続
- DirectConnect(DX) の敷設が間に合わなかったため。本番環境であればDXにするべき
- 二種類の VMware vSphere バージョンで検証(5.x/6.x)
- データセンターとVMC間は IPsec VPN で接続
- EAP 検証結果
- ストレージを除いて概ね問題なし
- コストとパフォーマンスを両立する選択が悩ましい
- ストレージを除いて概ね問題なし
VDI/DR活用のねらいと検証結果
- 現在のVMCの取り組み
- VMC上に開発用VDI環境を構築中
- VSAN の重複排除機能をを利用し、ストレージ容量圧縮
- 災害時のDR先として
- VMC上に開発用VDI環境を構築中
- DR での VMC 利用案
- オンプレ基幹システムのバックアップを定期的に S3 へバックアップ
- 災害時には S3 バックアップから基幹システムをリストア
- 利用時には迂回ルートから、AWS 環境にアクセス
- AWS 上のシステム災害対策
- マルチAZ構成すること
- 巨大地震、広域災害については複数リージョン構成での対策が必要
- 国内リージョン事情
- 東京リージョンのみ一度
- 大阪ローカルリージョンはDR利用の位置づけ
- リザーブドインスタンスのみ
- サービスの種類が限定的
- 国内リージョン事情
- 広域災害を想定するなら海外リージョンを選択することになる
- 海外リージョンの選定
- レイテンシの影響を受ける
- 多くの会社はシンガポールを選択すると聞いた
- 海外リージョンの選定
- 近畿日本鉄道のBCPとの適合性
- 首都直下地震の影響
- 近畿圏の電車は動けるのに、東京リージョン障害によりシステムが止まる可能性がある
- IT システムが本業の足を引っ張ることへの恐怖
- 東日本の経験
- データセンターが計画停電対象になり、システム停止
- 東日本の経験
- 首都直下地震の影響
- 今日、一番言いたいこと(このために登壇したと言ってもいい)
- 「大阪リージョン昇格してください!」
さいごに
2025年の崖を見据え、SIerに丸投げするのではなく自社で果敢にチャレンジされていることがとても伝わる良いセッションでした。組織を変革させるためのツールとしてクラウドを利用するという考え方が素晴らしいですね!(ルル3条おぼえました!)
大阪ローカルリージョンの昇格、期待したいですね!
以上!大阪オフィスの丸毛(@marumo1981)でした!